老後を生きるのは、自分自身

「老後の生活設計に不安がある」というのがきっかけで、ご相談にお越しになる人も多いのですが、タイミングとしては子育てが一段落してリタイアの準備をという場合と、リタイア後しばらくしてからという場合もあります。 もちろん、退職後の生活設計を考えるには、早いほうがいいのは間違いありませんが、早すぎても情報不足の面があります。 お金の面だけではなく、まずは自分自身がどのような老後の生活を希望するのか、ということについて本当のところを考えてみたいですね。

 

すぐに答えが出ることばかりではありませんが、現役時代に多くの制限があったために自然とあきらめていた「何か」が、きっとあるのではないでしょうか。

別荘の門

 

退職金があれば、流動資産は生涯で最も大きくなっているかもしれません。 退職まで時間がある場合には、少しでも努力して資産形成をという気持ちもわかります。 資産を増やすにも、お金を使う目的や時期が明確になっているほうが安全です。 資産運用のリスクについては、資産運用を始める前にリスク管理についての準備が整っていることが必要です。

 

「健康で、それなりにお金に困らない普通の生活であればいい」という「普通」ですが、それは人によって違います。 「本当に求めていた暮らし」を実現するために、人生を振り返ってみませんか。 資産運用やリスク管理の方法はいくらでもあります。 しかし、その方法を決定するためには、自分自身のライフプランがしっかりと描けていることが前提です。 難しいことではありません。 まずは、やりたいことを全部書き出すことから始めましょう。

 

宝塚のファイナンシャルプランナー ライフプランラボ

 

 

老後の、ぼっち問題?

まぁ、一人暮らしだと話す機会が少なくなるのもわかりますし、「社会的孤立」というのも、いささか大袈裟だと思いたいところですが……。(汗)

孤立する独居高齢男性 「2週間他人と会話なし」16% 厚労省調査 msn産経ニュース

やはり女性のほうが圧倒的に外出の機会が多いということでしょうか。 自治会、町内会、老人会と、地域にはコミュニティがたくさんありますし、そんな場所で活発に活動している高齢の男性も多いのですが、なんとなく、ママさんたちが経験した「公園デビュー」のようなものがありそうで、苦手意識を抱く人も多いのかもしれません。

 

町内の祭り

夏には、ご近所の「お祭り」のような行事があることも多いと思いますが、そうしたところへ出かけるにも、友達がいなければ楽しみも少なくなってしまいます。 例えば、毎日の散歩で、出会う人との挨拶がきっかけで友達になるとか、ペットを飼う者同士のおつきあいとかもありそうです。 ま、人生の大先輩に「友達をつくりましょうね」とかのアドバイスもどうかと思いますが。(笑)

 

ただ、元気な間はそれほど困ることがなくても、災害時や防犯といった面ではご近所のつながりって大切なものです。 健康面で不安を抱えるようになってから、急に友達づくりといっても難しいでしょうし、毎日誰かと話す必要があるとも思いませんが、ご近所付き合いってあったほうがいいでしょうね。 会社勤め時代に仲の良かった同僚くらいしか、じっくり話せる友達がいない……、というのもわかりますが、名刺や肩書きがなくなってからでも、本音で話せる友達がいたほうが、どうも良さそうです。

 

「平成47年には、世帯の4割が高齢化」というニュースもあります。 そのときには、私も立派に70代。(汗) 自営業であることと、地域のコミュニティで長い間ボランティア活動をしているので、ずっと先輩の高齢の方ともお話しできる機会には、おかげさまで恵まれています。 ただ、私の場合は、家に居るのが嫌いではないタイプです。 毎日でかけるかどうかは別にして、やはり老後も「自分らしい暮らし」、ライフスタイルを実現しながら、自分のペースで周りの人ともコミュニケーションをとっていければいいなと思います。 思い立ったらすぐにできる!ということでもありませんから、少しずつでも準備を始めたいですよね。

 

リタイア準備のご相談も、経験豊富なライフプランラボへ

 

老後の暮らし方にも、多様な選択肢を

将来、希望する「生き方」「暮らし方」って、年齢を重ねるにつれて自然と選択肢を狭めているように感じませんか? もう少し、ストレートな表現をすれば、「考えるよりも前に、簡単にあきらめていないか」ということです。 住まいのこと、医療や介護のことなど、不確定な要素がたくさんあり、お金を使うことに消極的になってしまうことも多いでしょう。 もしかしたら、不景気で収入が減るなか、大きな住宅ローンを抱えて頑張っている子どものことが心配で仕方ないという人もいるかもしれません。

 

心配だ、心配だ、と繰り返してしまう原因のひとつには、情報洪水が考えられます。 「これだけかかる老後の生活費」「公的年金は、やっぱり危ない」というような話題について目にしない日はありませんし、高齢化にともなう健康面や住まいの不安も大きいものがあります。 そうした場合には、老後のライフスタイルについて具体的に考えることで、漠然とした不安も軽くなることが多いです。

 

現役世代と同じように、老後の暮らしについても長期的な家計の様子を探ることで、具体的な暮らしの「目安」を見つけることができます。 冒頭に書いたように、最初から希望する暮らしをあきらめるのではなく、いろいろなライフイベントについて候補をたくさん挙げ、家計の裏付けをとおして優先順位を考えながら、実現できそうな選択肢をできるだけ多く確保しておきたいものですね。

 

老後の暮らしは、家計の裏づけから

 

グラフは、ライフプランシミュレーションから作成した、貯蓄残高の推移予測グラフですが、リタイア後の生活設計にも役立ちます。 長い老後の生活、確保しておきたい預貯金や財産の額は、その人の考え方や家族構成はもちろん、どんな老後の生活を希望するのかによって大きく変わります。 まずは、自身がどんな「生き方・暮らし方」を望むのかを考えるところから始めることが大切です。 溢れる情報の中から、必要な情報を選ぶのはそのあとです。 もちろん、資産運用もひとつの手段ですが、その方法やリスク許容度を測るためにも、目的をはっきりとさせることが最初に必要なことですから。

老後の暮らしを豊かなものにするためにも、ライフプランラボにご相談ください

 

 

老後の住まい方に、広がる選択肢

「老後の一人暮らしに、部屋を貸してくれる大家さんがいない」という時代にも変化が現れているようですが、これも超高齢社会を見据えた大きな流れでしょうか。 高齢者専用賃貸住宅はあっという間に増えたように感じますし、高齢者支援サービス付きの住居の形態も増えています。 資産に余裕のある健常者のなかには、仲の良いグループ数人で同じ分譲マンションの居室をそれぞれが購入して、適度な距離感で小さなコミュニティを形成しているケースもあるようです。 そして最近は、若い世代から注目を浴びている「シェアハウス」も、高齢者の住まい方のひとつとして認知されているようです。

<セカンドライフ>シニアにも人気 シェアハウス  東京新聞 TOKYO Web

高齢者のひとり暮らしと言っても、そこにはいろいろな背景があることでしょうし、単純に、「仲良しグループ」が集まればそれでハッピーな暮らしというわけでもないように思います。

老後の住まい方

ひとりぼっちはイヤだけど、プライベートも大切にしたい。

一緒に暮らすなら、全てをさらけ出して本当の家族のように。

ひとりでも、十分に楽しんで暮らせる。

困ったときだけ、少し頼れる友人がいればいい。

ライフスタイルや価値観が多様化しているのは高齢者も同じでしょう。 住まい方の選択肢が増えることは良いことですし、「できるだけ自分のことは自分で」という考え方には共感できます。 シェアハウスの場合は、健常者向けのグループホームのようなイメージでしょうか。 いずれにしても長く続く老後の生活、住まい方はもちろん、暮らし方全般については、自分自身に合ったライフスタイルを実現できる方法を、じっくりと探してみたいものですね。

 

 

憧れは必要だが、早とちりはいけない

「減速する」という生き方に共感する人が増えているのも、わかるような気がします。 私自身、ファイナンシャルプランナーという仕事をしていますが、相談実務を通じて「お金が全てではない」と、強く感じます。 ライフスタイルも多様化し、価値観も人それぞれ。 「自分の好きなことを、自分のペースで、ストレスのない暮らし」って、憧れますよね。 ただ……、これだけ書くと、まるで、リタイア後の暮らしのようです。

経済成長っているの?30代で脱サラ「減速」生活(東京新聞TOKYO Webへ)

もちろん、この人だって、最初からローギアで走ってきたわけではありませんし、だからこそ「減速」なんですね。 短絡的に、「あ~オレ、もうしんどいから、減速しちゃえ」って、安易に脱サラする人もいないとは思いますが、何を始めるにも、それまでの経験や人間関係が役立つことは間違いありませんから、やはり、常に「今」を大切にしたいです。

減速

 

「減速生活」を実際に手に入れる可能性のある人ばかりとも限りませんが、憧れだけでは難しいことも現実でしょうし、入念な準備や、家族全員で価値観を共有することも大切でしょうね。 「家族との時間を増やす」といっても、家族と過ごす時間の長短で「幸せ度」が決まるわけでもなさそうですし、子どもの成長に伴って家族の形も変化しますから。 「家族との生活を第一に考え、減速する」という人がいる一方で、「家族との生活を第一に考え、加速する」ことが必要な人もいるでしょう。

 

現状を把握する→ゴールを設定する→知識を身につける→プラン作成と実行→定期的見直し

 

これは、ファイナンシャルプランニングの基本的な手順ですが、最初の「現状分析」はとても大切です。  憧れのライフスタイルや、希望する暮らしといったゴールを設定する前に、まずは今の暮らしについて客観的に見つめてみる必要があります。 そして、本当に実現したい夢や希望であれば、ゴールはより具体的で実現可能なものでなければなりません。 単なる「憧れ」で終わらせるわけにはいきませんし、「早とちり」だったと悔やんだりしたくありませんから。準備をしっかりとする必要があることはもちろんですが、それは家計面のことだけではなく、家族間のコミュニケーションとか、夢の共有とか、やはり日々の暮らしのなかにあるのではないでしょうか。

 

 

今こそ、三世代コミュニティ

団地のリノベーションが若い世代にも好評だそうです。 ニュータウンと呼ばれた当時とは違い、すっかりライフスタイルも多様化しましたから、団地とはいっても画一的な建物ではなく個性的なところがウケているのでしょうね。 多くの人が許容できるように妥協されたデザインではなく、ある意味、住む人を選んでしまうような個性的な物件というところが、逆に支持されているのかもしれません。

 

同じ年齢層、子育て世代、共通の趣味など、価値観やライフスタイルが似た人が集まるコミュニティというのもわかりやすいです。 また、逆に、三世代コミュニティというのがあってもいいと思いますがいかがでしょうか。 多世代にわたる、さまざまな人生を暮らす人が共存する地域ですね。

三世代コミュニティ

「核家族」というのを、今さら問題視するつもりもありませんが、三世代同居が少なくなった今だからこそ、三世代共存の団地や地域というのも受け入れられるように感じます。 ご近所さんと必要以上に関わりたくないという人もいるとは思いますが、「三世代同居はちょっと……」でも、適度な距離を保てる三世代コミュニティであれば、自分なりに人との関わりを楽しみながら生活することも可能です。

 

地域コミュニティや地元の小学校で、「昔遊び体験」「餅つき」「盆踊り」といったイベントで三世代が交流するというのも増えていますが、イベント性の高い行事というのは継続して開催するためにはそれなりに関わる人の負担も増えるものです。 しかし、そうした場所で顔見知りになっておくということも大切ですね。

「わぁ~、あんた、あそこの子どもか!おっきなったなぁ~!」

「あんた、悪そうなカッコしてるけど、どないしたんや」

「おぉ~、すっかりおねえちゃんになったな~」

近所のおじいちゃんやおばあちゃんとの、ちょっとした会話って、大切だと思いませんか?

少子高齢社会って、こうしたご近所づきあいを見直すきっかけになるように思います。 「子どもは地域の宝」ということもありますが、必要以上に関わるのも考えもの。 普段、当たり前にしていることがちょうどいいのかもしれません。 いろいろなタイプの大人やお年寄りがたくさんいて当たり前。 なかには、ちょっと苦手だったり怖かったりするおじちゃんやおじいちゃんがいることも当たり前。 でも、顔を知っているからこそ、そんなコミュニケーションを学ぶこともできるんですね。 防災・防犯といった面からも、地域コミュニティのつながりは大切です。 通りすがりにちょっと会釈をするような人がたくさんいる、三世代コミュニティって今こそ必要ではないでしょうか。

 

 

老後は、毎日が日曜日で悠々自適?

老後は、毎日が日曜日みたいなもので「悠々自適な生活」って憧れた時代も過去のものになったのでしょうか。 悠々自適な生活というのにも生活の基礎となる収入面での裏づけが必要ですが、肝心の年金に対する信頼性が揺らいでしまっては不安ですね。 「定年を迎えてもまだまだ元気、これまで時間がないためにあきらめてきたたくさんの趣味やスポーツなど、思いっきり楽しみたいな」という活発な夫がいる一方で、「仕事があるなら、元気な間はずっと外で働いて欲しい」という妻も多いのが現実です。

 

定年で退職した人たちの多くが自分たちの欲していたものは長期休暇だったことを知る

 

「悠々自適」=「贅沢」ということでもないはずですし、「自由な時間」を贅沢だと感じる人もいれば、「潤沢なお金」こそ贅沢だと感じる人もいるでしょう。 いずれにしても、それぞれのライフスタイルということになってきそうですが、住宅ローンの返済や教育費用の負担から解き放たれた老後の生活設計ですから、「自分らしい暮らし」を送りたいというのは誰しも共通の願いなのかもしれません。

自分らしい老後の暮らし方

老後や定年とはいっても、これからの時代は、それまでの生活をリセットして全く違った第二の人生がスタートするというよりも、 少しずつ時間をかけて第二の人生に移っていくというイメージのほうが近いようですね。 現役時代よりも年収は大幅に少なくなるが、その分、自分の時間が増え、自分らしい暮らし、地域住民として地元に溶け込んでで過ごすことが増えるというのも「贅沢」だと思いますがいかがでしょうか。

 

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流行語大賞トップテンに「終活」

年末恒例となった「ユーキャン新語・流行語大賞」(現代用語の基礎知識選)が発表されましたね。 今年の年間大賞は、「ワイルドだろぉ」が選ばれました。 元々は自虐ネタというものだと思いますが、楽しいフレーズが選ばれて良かったような気がします。 そして、トップテンに選ばれた流行語に、「終活」が入っていました。

 

「終活」という言葉が、『現代用語の基礎知識』に登場したのは、2010年版からということなので、まだまだ新しい言葉です。 遺言だけではなく、エンディングノートという言葉も広く知られるようになりましたし、「終活」の登場は、やはり超高齢社会の一層の進展もきっかけのひとつでしょう。

 

遺言については民法に定められる要式行為ですし、一般的に、相続に関係するというだけで「私には関係ないかな」というイメージが相変わらず強いようです。 遺言とエンディングノートについては似ているようなイメージもあると思いますが、エンディングノートは、より身近なものとして認知されてきているようですね。 高齢者人口の増加に伴って、老親の看護や介護といった問題について考える機会が増えていることも原因でしょう。

老親の看護と介護

相続に関するご相談では、「心の機微」のようなものに触れることも多いのですが、多くの場合、相続対策というと財産に関することが多いために、「資産家の問題」というように受取られがちです。(本当は、そうとも限らないのですが)(汗) そういう意味では、エンディングノートや終活という言葉が、表面的なイメージだけでなく、もっと広く意味を知られるようになることは良いことですね。

 

このブログでは、ライフプランに関することを中心に書いていますが、終活もライフプランの締めくくりと考えれば大切なことです。 「生」と「死」というイメージではなく、超高齢社会だからということだけでもなく、「自分らしく人生を全うする」という意味でも考えておく必要があるのではないでしょうか。