だから、いつも生命保険で悩んでしまう・・・、え?だからって?

ファイナンシャルプランナーが相談業務で使うツールの代表的なものが、「家計のキャッシュフロー表」です。 ご相談者のライフイベントをもとにして、将来の家計の様子を探っていくシミュレーションには欠かせないものです。 もちろん、たくさんの変動要因が考えられますから、柔軟に試算していく必要がありますが、将来のわが家の家計の状態を予測するためには重要な作業になりますね。

 

生命保険について考えるときも同じです。 「万一時の家計のキャッシュフロー表」を作る作業から、生命保険の必要性や保険金額を導き出すからです。 特に、死亡保険については、「万一時の家計の将来」について、残された遺族の生活設計を具体的な必要保障額として割り出していくという行程になります。 必要な保障額や、保険期間、保障内容が決まってから、具体的にはどういった保険商品を使うのかという流れになるわけですが、それには負担することになる月々の保険料や保険料支払総額と、将来の家計とのバランスについても検討する必要があります。

 

ただし、計算上で導き出された保険金額が絶対というわけではありません。 それこそ、誤差が生じることもありますし、長い期間にわたって試算内容に変化が一切ないということのほうが稀なことも考えておくことが大切です。 私の、生命保険を設計する仕事との付き合いも長くなってきましたが、許される範囲での誤差を受け入れ、遺族の感情にも配慮した設計が求められるところだと強く感じています。

 

生命保険は家族のため?

「家族のために」というイメージの強い生命保険ですから、経済的合理性だけではない「何か」があってもいいように思います。

 

死亡保険についてだけを考えていると、少々、重い内容になってしまいそうなので、医療保険やがん保険についても考えてみましょう。 とはいっても、今回は、医療保険やがん保険の損得や比較ではありません。 死亡保険と同じように、ファイナンシャルプランナーとして実際に保険を設計して提案する立場から書いてみます。

 

極端な例ですが、大金持ちだから病気やケガで長い療養生活が続いたとしても、家計面では全く心配がないというような場合……、保険に頼る必要がないということも考えられます。 でも、「そんなときに、ちょっとくらい保険から受取りたいやん♪」というのであれば、医療保険に加入しておくこともいいでしょうね。 支払う保険料も、あまり気にする必要もないでしょうし。(お金持ちだから相続対策が……、というのは別の話しです)

 

要は、長期的な家計とのバランスです。

 

「万一時のリスク」ですから、低い確率のリスクについてどのような経済的カバーをしておくのかということですが、保険を使うべきところにはしっかりと使い、不要なところには多くを求めない、グレーな部分については感情や家計とのバランスで考えるといった柔軟性も大切だと思います。

 

わが家の家計に存在するリスクについて、リスクマップを使って具体的に考えてみる。 そして、万一時のキャッシュフロー表で、長期的な家計のダメージについて測定してみる。 最終的には、生存時のキャッシュフロー表、つまり「家計のキャッシュフロー表」で長期的な家計とのバランスで決定する。 というような手順で考えていけば、生命保険についての大きな失敗は避けられます。

 

最後に、若い世代でまだまだ貯蓄が少ないようなケースでは、家族構成やライフスタイルによっては大きな保障が必要なことも多いです。 保険を上手に使うことはもちろんですが、「家計のキャッシュフロー表」で将来の家計を考えたときに、保険の重要性とともに、貯蓄の重要性についても理解できるはずです。 ひとことで、「万一時に備える」といっても、それぞれの生き方、暮らし方が与える影響は高いものです。 まずは、希望する生き方や暮らし方についてしっかりと考えてみたいですね。

「家計のキャッシュフロー表」については、こんな動画を参考に

 

万一時を心配しすぎて、万一時以外がおろそかになってしまってもいけません。 つまり、多くの人が迎える健康な老後の生活こそが重要なことはいうまでもありません。 豊かで安心な暮らしのためには、いろいろな準備が必要ですね。

 

もちろん、ライフプランラボは生命保険相談も得意分野です