世代間賃金配分が家計を直撃?

アベノミクスによる、今後の企業業績回復期待ムードもありますが、春闘については引き続き厳しい展開が予想されています。 特に、再雇用を理由にした賃金抑制の動きについては注目が集まっているところです。

【春闘】バブル世代がコストカット対象? シニア雇用延長で世代間の賃金配分焦点に

「大量採用された40歳代後半のバブル世代がコストカットの主な対象になる」というのが現実になれば、教育費の負担が最も大きい世代にとって、家計への影響が大きなものになりそうです。 もともと、子どもが大学進学を迎える時期には、家計の年間収支が赤字になることも多く、そのために子どもが小さい間から貯蓄をして備えておくというイメージが一般的です。

教育費からみた家計のイメージ

このグラフは、2人の子どもの教育進路によって、将来の貯蓄残高推移にどのような影響があるのか比較してみたものです。 一番貯蓄残高が多く推移する、上のブルーは大学のみ私立(文系自宅通学)、ピンクは中学~大学まで私立、オレンジが小学校から大学まで私立として試算したものです。 ここでは収入や支出についての具体的な金額は関係なく、単純に教育費負担についてのイメージを確認するためだけに作成したものです。

 

赤い丸印で囲んだ、(1)が「貯める時期」だとすると、教育費の負担が大きくなって貯蓄を取り崩す(年間の家計が赤字になり貯蓄残高が減少している)(2)が「使う時期」ということがはっきりとわかります。 そして、ずっと先のことだからと、なかなか具体的なイメージを持てない(3)ですが、退職金をもらった時期が貯蓄残高のピークとなったあと、長く続く退職後のライフスタイルに大きな影響を与えます。

 

40代後半の世代について収入が「伸びない・減る」ということは、「貯める時期」に思ったように貯められなくなる可能性が高く、そうでなくても教育費の負担が重くのしかかる家計へのダメージが心配です。 晩婚化や晩産化によって、しっかりと貯蓄で準備できる期間が短くなる傾向もありますから、「まだ早いかな」とノンビリしていられる時代ではどうもなさそうです。 デフレ脱却については、大いに政府に期待したいところですが、家計においては引き続き自衛のためにも「貯める時期」の努力が必要です。