大切なのは、保険と貯蓄とのバランス
「保険を見直して、家計の節約を!」というのをあちこちで見かけますが、収入ダウンが続く時代であっても生命保険の世帯加入率は減少していないというニュース。
年収300万円未満でも保険加入率79.8% 格差時代の「リスク回避術」 J-CAST会社ウォッチ
正確には、「収入が少ないのに…」ではなくて、「十分な貯蓄がないのに…」ということだと思いますが、だからこそ上手に保険を活用するべきです。
つまり、私の場合には、「何があるかわからない。保険には必ず入っておくべき」という考え方です。
ただし、このニュースの背景にある調査結果については、注意深く読んでみる必要があります。 「保険に加入している」といっても、その「保険」が、死亡保険なのか医療保険やがん保険なのか、年金保険なのか、詳細についてはわかりません。 また「世帯加入率」や「世帯主」というのも曖昧ですし、そもそも、家族構成なども含めると、実際の加入状況については「意外にばらつきが多いだろう」と考えられるからです。 調査結果を参考にすること自体に問題はありませんが、「わが家にとって」という目線で、保障の目的ごとに必要性や優先順位を整理してみることが大切です。
保険は、「リスクの回避」ではなく、「リスクの転嫁」です。 精神的損失をカバーすることはできませんが、経済的損失をカバーすることは可能です。 ただし、期待するすべてをカバーすることは難しいですから、目的ごとの優先順位を考えることが重要になってくるんですね。 「何があるかわからない、保険には必ず入っておきべき」ですが、目的をはっきりとさせてから、保険料負担が家計を脅かすことのないように適切な範囲で保険を利用するようにしたいものです。
冒頭のニュースでは、「経済的理由で最善の病気治療が受けられないのは心細い」とあります。 健康保険の対象外になっている高度先進医療のことを指しているようですが、確かに、民間の医療保険等で一般的になってきた「先進医療特約」は、「保険らしい」保障だと思います。 保障の対象が狭い範囲に絞られているので、「ダメージは大きいが、リスクとしては顕在化する可能性が低く、その分、保険料負担も小さい」と言えますから、保険の目的なんかを考えるという意味では、わかりやすいものになっていますね。
収入が少なく、まだ十分な貯蓄ができていないために、「何かあったときのために保険を」というのは正解ですが、いつまでも保険に頼る(つまり、保険料を負担し続ける)ことのないように、「収入を増やす・貯蓄を増やす」という努力は必要です。 家計にとって重大なダメージが生じたときのリスクを転嫁してくれる保険は大切ですが、保険料負担が長期的な家計にとってダメージとなってしまわないように、保険と貯蓄のバランスを考えておきたいですね。