憧れは必要だが、早とちりはいけない
「減速する」という生き方に共感する人が増えているのも、わかるような気がします。 私自身、ファイナンシャルプランナーという仕事をしていますが、相談実務を通じて「お金が全てではない」と、強く感じます。 ライフスタイルも多様化し、価値観も人それぞれ。 「自分の好きなことを、自分のペースで、ストレスのない暮らし」って、憧れますよね。 ただ……、これだけ書くと、まるで、リタイア後の暮らしのようです。
経済成長っているの?30代で脱サラ「減速」生活(東京新聞TOKYO Webへ)
もちろん、この人だって、最初からローギアで走ってきたわけではありませんし、だからこそ「減速」なんですね。 短絡的に、「あ~オレ、もうしんどいから、減速しちゃえ」って、安易に脱サラする人もいないとは思いますが、何を始めるにも、それまでの経験や人間関係が役立つことは間違いありませんから、やはり、常に「今」を大切にしたいです。
「減速生活」を実際に手に入れる可能性のある人ばかりとも限りませんが、憧れだけでは難しいことも現実でしょうし、入念な準備や、家族全員で価値観を共有することも大切でしょうね。 「家族との時間を増やす」といっても、家族と過ごす時間の長短で「幸せ度」が決まるわけでもなさそうですし、子どもの成長に伴って家族の形も変化しますから。 「家族との生活を第一に考え、減速する」という人がいる一方で、「家族との生活を第一に考え、加速する」ことが必要な人もいるでしょう。
現状を把握する→ゴールを設定する→知識を身につける→プラン作成と実行→定期的見直し
これは、ファイナンシャルプランニングの基本的な手順ですが、最初の「現状分析」はとても大切です。 憧れのライフスタイルや、希望する暮らしといったゴールを設定する前に、まずは今の暮らしについて客観的に見つめてみる必要があります。 そして、本当に実現したい夢や希望であれば、ゴールはより具体的で実現可能なものでなければなりません。 単なる「憧れ」で終わらせるわけにはいきませんし、「早とちり」だったと悔やんだりしたくありませんから。準備をしっかりとする必要があることはもちろんですが、それは家計面のことだけではなく、家族間のコミュニケーションとか、夢の共有とか、やはり日々の暮らしのなかにあるのではないでしょうか。